大台町の自然

大台町は三重県の中央部やや南よりに位置し、森林率が約90%もあり、日本でも有数の多雨地帯です。台高山脈を源流とする一級河川宮川が町の中央を流れ、大台町は宮川の源流から中流域を担っています。町の西側は奈良県と隣接し、大杉谷峡谷を抜けて大台ヶ原に行くことができます。その地域は吉野熊野国立公園に指定され、保護がなされています。

山地、渓流で出会える生き物

大台町での出会いやすさ
 比較的出会いやすい
 頑張れば出会えるかも
 出会えばラッキー!

ニホンカモシカ
国の天然記念物に指定されている。警戒すると咳のような短い鳴き声を出す。シカと名前についているが、実はウシ科。

ニホンウサギコウモリ
長い耳が特徴的なコウモリ。和名はその特徴に由来する。休憩時には、その長い耳を小脇にかかえこみ眠ることもある。

ニホンリス
主に樹上で暮らし、果実や木の芽、きのこや昆虫まで食べる雑食性の齧歯類。冬眠はせず、秋のうちに貯食した木の実を掘り返して食べ、冬をしのぐ。

ヤマセミ
山地渓流に住むカワセミの仲間の鳥類。大きさはハトほどあり、白黒の鹿の子模様もあいまって、非常に目を奪われる。

クマタカ
幅広い翼で山林内を飛ぶ、大型の猛禽類。ひらけた空間で狩りを行うため、生息には多様な環境が必要。

オオコノハズク
小型のフクロウで、類似するコノハズクとは瞳の色で見分ける。フクロウ類の営巣に樹洞は不可欠であり、樹洞ができる大径木のある森林環境の指標種となる。

アカザ
渓流に棲む小型のナマズの仲間。綺麗で冷涼な河川環境の指標となる。オレンジ色の体色が目を引く。迂闊に触るとヒレにあるトゲで刺すと言われている。

アマゴ
美しく美味しいことから渓流の女王と呼ばれ親しまれている。冷涼な河川の指標種にもなる。警戒心が強い。

オオダイガハラサンショウウオ
大台町と奈良県との堺にある大台ケ原の名を冠するサンショウウオ。小型サンショウウオの中では最大クラスの大きさを誇る。水中で青紫色を帯びる体色は表現し難い美しさを有する。

モリアオガエル
枝先に泡に包まれた卵を産む樹上性のカエル。町内には県の天然記念物に指定されている繁殖地がある。

カジカガエル
鳥や秋の虫のような美しい鳴き声のカエル。宮川上流域では季節によって、この美しい鳴き声を聞くことができる。

オニクワガタ
ブナ林に住む小型のクワガタムシ。小さいながらよく見ると非常に美しい形態をしている。

トワダオオカ
金属光沢のある体毛が生える大型のカ(血は吸わない)。大径木がある良好な森林環境がないと暮らしていけないため、環境の指標種ともなる。

マメザトウムシ
豊かな森林に住む小型のザトウムシ。目が発達しており、非常に愛らしい印象を受ける。この大きく発達した目と長い脚を使い、機敏に行動する。

アカツノカニムシ
尾の無いサソリのような見た目をしている土壌生物であるカニムシの仲間。冬以外では会うことが難しい。

ヤツワクガビル
大型の陸生のヒル。吸血はせず、主にミミズを吸い込んで食べる。黒っぽい色にオレンジ色の縁取りが美しい。紀伊半島には全身オレンジ色の個体も生息する。

マツグミ
針葉樹に寄生するヤドリギの仲間の植物。美しく他ではあまり見ない形の花を付ける。ただ残念ながら人の目が届かない高所に着くことが多い。

クモノスシダ
石灰岩地帯に生えるシダ植物。葉の先端が長く糸状に伸びて周辺の岩壁に付着し、先端付近から新しい個体を発生させる。その様子をクモの巣に見立てて和名がつけられている。

チャボツメレンゲ
崖地に生える多肉植物。ソハヤキ要素という限られた地域(紀伊半島~九州の一部)に生息している種類。白く可憐な花を咲かす。

粘菌の1種
変形菌の仲間で、菌とついているが菌類ではない。この種類は鮮やかな黄色をしている。

ネコギギについて

里地里山で出会える生き物

大台町での出会いやすさ
 比較的出会いやすい
 頑張れば出会えるかも
 出会えばラッキー!

アブラコウモリ
家屋を住処にする小型のコウモリ。カなどの小型の虫を食べる。夕方ごろにパタパタ特徴的な飛び方をするため、慣れると鳥との違いがすぐに分かる。

ホンドギツネ
民話などにもよく登場する馴染み深い哺乳類。しかし実際に会ったことがない人も少なくないはず。案外身近な環境にも暮らしている。

カワセミ
美しい体色をし、川の翡翠とも呼ばれる鳥類。山地から平地まで広く分布している。

オシドリ
♂の冬羽が美しい色をしているカモ。冬鳥で池や河川に飛来する。大台町では山奥から平地まで広く訪れる。ただ警戒心は強い。

スナヤツメ
アンモシーテス幼生という時期を過ごし、変態して成体になる。幼生期は川底の有機物や藻類を食べ、成体になると餌を食べない。

ニホンイシガメ
甲羅の盛り上がりは縦に一列、しっぽ側の縁がギザギザしているカメ。全国的には減少傾向にある。町内では比較的安定して生息している。

タカチホヘビ
旧幻のヘビ。美しいビーズ状の細かい鱗は光の当たり方で虹色に輝く。ミミズ専食で地中生傾向が強く、そのため愛らしい丸っこい顔、つぶらな瞳が特徴的。

シマヘビ
町内広域に分布するヘビ。本州一精悍な顔付きをしている。写真のような黒化個体はカラスヘビと呼ばれる。

ニホンマムシ
言わずと知れた毒ヘビ。ヘビにしては珍しい卵胎生で、卵をお腹の中で孵化させ、赤ちゃん(仔マムシ)を産む。

ヨツボシカミキリ
薪依存とされており、近年著しく減少しているカミキリムシ。美しい赤みがかった体色、上翅の黄色い4つの模様が特徴。

スギカミキリ
サクラが咲く時期の春の夜にスギやヒノキの生木、切り倒して間もないものにくるカミキリムシ。扁平な形をしており、樹皮下に潜むのに適している。

カワラバッタ
名前の通り河原に棲むバッタ。体色は周りの環境に溶け込み保護色となる。しかし飛び立つと後ろ羽の美しいコバルトブルーを見ることができる。

ゲンジボタル
清流に棲む幼虫が水生のホタル。平成16年の豪雨災害で著しく数を減らしたが、近年少しづつ個体数が回復してきている。古来から詩に読まれるほど親しまれる初夏の風物詩である。

イボタガ
春の三大ガの一角。ベルベット上の鱗粉がのった美しい翅の模様が特徴。実物に出会うと、ガのイメージを向上してくれる存在だと信じている。

ナミハンミョ
日本が世界に誇る美しい甲虫。幼虫も特徴的な見た目と暮らしをしており、観察していて非常に面白い昆虫。

キノボリトタテグモ
神社などがある古木が生える環境で暮らすクモ。巣は袋状で、非常に見つけにくく作られている。

ギンリョウソウ
植物でありながら葉緑体を持たず、自分で光合成をせず、他者の栄養を分けてもらい生きている植物(菌従属性植物)の1種。

オカオグルマ
里地里山環境に生える植物。スプリングエフェメラルという春先に太陽光を潤沢に浴びれる環境がないと生きていけない生態を持つ。つまり手入れがなされている里地里山環境の指標となる。

シュンラン
春に咲く地生のラン。里地里山環境に生える。葉は細かい鋸歯があり、触るとザラザラしている。

ボーベリアの1種
昆虫病原糸状菌という菌の仲間で、昆虫の身体で菌を増殖させ弱らせて死亡させてしまう。写真の宿主はおそらくマダラカマドウマ。

【お問合せ先】
〒519-2633 三重県多気郡大台町久豆199番地
大台町生物多様性協議会(事務局:特定非営利活動法人大杉谷自然学校)
TEL / 0598-78-8888 FAX / 0598-78-8889
Mail / info@osugidani.jp

特定非営利活動法人大杉谷自然学校
宮川漁法ミュージアム
大杉谷登山センター
地球環境基金